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岡田利規 「わたしたちに許された特別な時間の終わり」

 少し前の小説ですが、とても好きな作品です。今年この小説で大江健三郎賞を受賞したことでも注目を集めた演出家 岡田利規さんによるはじめての小説です。
 
 2つの短編小説が収められていますが、もちろん注目は「三月の5日間」です。これは戯曲だったものを小説化したものですが、本帯を読むと各紙絶賛とあり、それが誇張でも何でもなくこれはまさしく傑作だと思いました。
 
 ストーリーを、かなりいいかげんに略して書きますと、
 アメリカによるイラク攻撃の開始直後
①若者男6人が六本木のライブハウスでのパフォーマンスを見る
②ライブハウスに行くきっかけとなった前日の映画館での女の子との出来事
③ライブハウスで知り合った女の子と渋谷のホテルで5日間をひたすらセックスして過ごす
という流れで、イラク攻撃反対のデモ行進が所々で象徴的に出てきて、戦争という超現実と若者の非日常的な日常がうまく対比して描かれていると思いました。
 圧巻だったのは、映画館で出会った内気で卑屈な女の子が出会った男の気を引こうと努力する場面で、その数分間の女の子の些細な心の揺れを女の子が語っていくところ。おそらく今の若者の脳みその中はこんなんだろうなと納得してしまうくらいのリアリティです。
 ラストのラブホテルを出た男女があっさりと別れて、非日常の渋谷が日常に変わっていくところはすごく印象的です。
 彼の作品には新しい小説の世界を感じます。演劇ユニット「チェルフィッチュ」のお芝居も是非今度観にいってみたいと思います。
 
 
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テーマ : お気に入り作品 - ジャンル : 小説・文学

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